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【塾員クロスロード】
鷲崎一誠:野球界の登龍門を沖縄に

2024/03/26

  • 鷲崎 一誠(わしざき いっせい)

    株式会社ジャパンリーグ代表取締役・2015環

ウィンターリーグという日本にこれまでなかった野球の事業に挑戦しています。

私は塾野球部に在籍しておりましたがプレーヤーとして未熟で、200名超の部員の中での戦いには勝てず、4年間一度もベンチに入れませんでした。神宮球場ではチームメイトが活躍している中、「いまに見てろよ」とスタンドから唇を噛みグラウンドを見ているだけで4年間が終わってしまいました。

4年生秋の慶早戦が終わり野球部を引退しましたが、整理できていたはずの野球への思いがふつふつと湧いてきました。そんな中、米・カリフォルニアにウィンターリーグという舞台があるということを知り、参加を決意しました。ウィンターリーグとは全米から約200名が集まり、機会が均等に与えられ1カ月のリーグ戦が行われ、MLBや独立リーグのスカウトにアピールできるトライアウトリーグです。大学時代、試合経験がほぼなかった私でしたが、逆方向に本塁打を放つなど納得のいく成果を残しました。スカウトされることはありませんでしたが、実践経験を得られ、自分のこれまでの努力の成果を発揮できたことによって私の燻っていた気持ちはカリフォルニアの地で成仏していきました。

その後は、ビジネスマンとして生きていく道を選び、ファーストリテイリングで5年間働いた後に起業しました。「腹の底から世の中を変えたいと思えること」は何かと考え、日本にウィンターリーグを起こす挑戦を決意しました。この事業を通して、実現したいことは私のように悔しい思いをしている選手や実践環境が必要な選手に舞台を作り、かつビジネスとして成功させることです。

「陽の目を見ない場所に光を」。このミッションの下に多くの賛同者が集結しています。テクニックもパッションも日本トップレベルのチームメンバーと、いろいろな分野のサポーターがいます。この仲間と共に、野球界を底上げし、世界の野球界を牽引するリーダーシップを持って行動し、このリーグを文化にしていきたいと思っています。

2年目の2023年度は総勢101名の選手が11カ国から参加し、20名超がプロ契約し、トライアウトリーグとして大成功を収めました。世界中の選手が日本に集まり、また世界中に羽ばたいていく登龍門を沖縄に作ります。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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