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【塾員クロスロード】
和佐野有紀:奔放な想像力という舟を寿ぐ

2024/02/22

  • 和佐野 有紀(わさの ゆき)

    アートコミュニケーター、医師・2018文修

寄稿依頼を頂いて、でもそのキラキラっぷりにあてられ、やさぐれそうになっていた時、芸術祭でもお世話になっている大好きな珠洲の一報が。前を向かねばと、目が覚めました。

今の肩書は『アート・イン・ビジネス』を書いていた頃、愉快な電通メンズと、いとおもしろき経営者の方々にインタビューさせて頂く際(有斐閣さんから2019年に出版頂きました)皆の名刺に並ぶかっこいい片仮名に感化され、ありそうでない/分かりそうで分からない名刺を作ってみたというのが始まりです。

社会通念や常識とよばれる何かに寄りかからず、まるで子供のような無邪気な目/身体で世界を捉え、想像を巡らせ、それをかたちにして他者と共有するアーティストの価値をしっかり実感できる社会を作ろうと生きています。そんなオトナが増えたら、日本は面白くなると思うのです。

私自身はハマではないスカ(横須賀)生れ。(私への好意を胸に⁉)男子が塀の上から投げた石が頭にヒットし小3で女子校へ。ルーズソックスにわき目もふらず学び励み、念願の上京。耳鼻科医としても紆余曲折ありつつ、大好きな三島の影響もあり、世界を舞台に活躍するアーティストを支える術をと慶應へ。現代アートを好きになる=いつだってブランニューな誰かと恋に落ちるコレクター行動の可視化をマーケティング目線で研究させて頂き、アートマネジメント課程を修了。今に至ります。

修了後は、個人/企業におけるアートの価値化をリサーチし、展示や書籍に。遠山正道さんの“新種のimmigrations”や博報堂UoCにちらり伴走させて頂いたり、アートイベントの企画やプロデュース、アーティストの制作過程に同舟したりと貴重な経験を。昨年末、タイのフェスで展示企画に関わった際、“表現”の孕む強度と必然性を体感し、コトバを紡ぐことにもっともっと意識的でありたいと切に感じています。生れて初めて出会う他者の世界観としての“絵本”に興味があり、こんなオトナが増えたらおもろくなる……という方の絵本プロデュースが夢。

学ぶことも勿論大切ですが、実践(できれば生きている間にこの目で見たい!)が好きなので、どう生きるべきか、40も半ばなのに悩み続けています。ご縁に感謝し、塾員としての自覚を胸に、夜空に星座を見立て、たまに涙しながら生きていきたいと思っています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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