【塾員クロスロード】
清水映輔:世界の失明を50%減らす‼
2023/12/26
「世界の失明を50%減らし、眼から人々の健康を守る」。一見壮大に聞こえるこの言葉は、慶應医学部の眼科学教室発ベンチャーOUI Inc.(株式会社OUI:ウイインク)のミッションです。OUI Inc. はスマホで眼科診察を可能とする医療機器「Smart Eye Camera」の研究開発・実用化・販売を行い、 遠隔診療とAI開発など幅広く展開し、世界30カ国のパートナーと共に、ミッション達成に向けて進んでいます。
私は普通部から慶應義塾にお世話になり、塾高時代はスケート部ホッケー部門でアイスホッケーに出会い、医学部進学後も医学部体育会スケート部に在籍。卒業後は眼科学教室に入局し、2023年現在も在籍中です。また、祖父が横浜で開業していたので、実家の眼科である「横浜けいあい眼科」でも診療を行っています。
眼科医である私がスタートアップを起業し、なぜ夢を追い続けることができているか、よく聞かれるのですが、背景には慶應義塾の目的である「気品の泉源、智徳の模範」や、慶應義塾の精神「実学」に影響をうけたから、と考えています。
普通部入学直後、理念や目的を暗唱する試験があり、当時は何のことやらという感じでしたが、今思い返すと、理念や目的のすり込みがないと、今の私はなかったと思います。
スタートアップは、壮大な夢に挑戦するため「自我作古」を信条とし、常に「独立自尊」の精神で物事に臨みます。大企業のように細分化された組織でないため「半学半教」アドバイザーや新入社員関係など立場に係なく皆から学ぶ必要があり(医学の教育しか受けていない自分にとって他学部の卒業生から学ぶことしかありません)、さらに、組織を作るためには他学部の塾員と「社中協力」していく必要があります。まさに、私のおかれているこの状況に慶應義塾の理念が当てはまるのではないでしょうか。
最後に、私が少し医師の王道と異なる道を進むことを認めていただいた、眼科学教室の坪田一男名誉教授からは、現在も医局の多様性を重要視され、応援いただいております。同教室の根岸一乃教授、起業当時大学院生であった私の我儘を100%容認していただきました同教室前特任准教授の小川葉子先生、心より御礼申し上げます。
同時に、慶應義塾の精神を忘れないで、自身の限界を設定せず、もっともっと頑張ります!
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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清水 映輔(しみず えいすけ)
OUI Inc. (株式会社OUI)代表取締役、医療法人慶眼会理事長、慶應義塾大学医学部眼科学教室特任講師・2013医、2020医博