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【塾員クロスロード】
権浩子:子どもたちの20年後の未来のために

2023/12/18

  • 権 浩子(ごん ひろこ)

    子どもの食卓株式会社代表・2005商

私は現在、お子様向けの無添加の食品をおつくりしているのですが、もともとは税理士事務所勤務後、アメリカの証券会社にて7年近く働いていました。その後、30代半ばで出産。子どもを産んでから、離乳食、幼児食とわが子の食事が大人に近づいていく中で、スーパーなどで売られているお子様の食事がとてもケミカルなことに驚いてしまい、無我夢中で背中を押されるように「子どもの食卓」を起業しました。

今まで証券の世界にいたので、食品業界では人脈も経験もまったくなく、工場探しはひたすら修行のような日々でした。冷凍総菜をつくれる工場に片っ端から電話しては相談する毎日。小さなわが子を背中におぶりながら大変な時期でしたが、クラウドファンディングを通じて冷凍食品をつくりました。その後コロナ禍になったので調味料やお菓子をつくっていく中で、最初は1人で始めた子どもの食卓も、少しずつ商品が出来上がったり、味覚形成期のお子様の食事の大切さや「わが子に食べさせてあげたいものをつくりたい」という想いが伝わると、その途中で力を貸してくれる塾員の皆様が本当に沢山いらっしゃいました。

ここには到底記載しきれないのですが、中でも、1人でも多くの人に知ってほしいと「味の手帖」を主宰されている山口健さんに貴重な連載の機会を頂いたこと、そして伊勢丹新宿本店でPOPUPをさせて頂いた際は大学のサークルの先輩の肥後友樹さんが当時偶然食品売り場の担当をされていて、中等部の同級生である湯木妙子さんが若女将を務めている日本料理の老舗中の老舗「吉兆」と「子どもの食卓」の光栄すぎるお弁当のコラボレーションさせていただいたこと。そして何より、今の子どもの食卓の社内の管理本部全般を支えてくれているのは、商学部の経営学で大変お世話になった谷口和弘教授のゼミの先輩の前田貴子さんです。

毎日初めての新しいことに一生懸命挑戦しながらも無我夢中で走ってきたら、伊勢丹や紀ノ國屋、ビオセボン、ライフBIO - RAL と設立から5年で少しずつ置いてくださる店舗が増えてきて、だんだんと「子ども達の食の安心」が守られるようになってきていることを実感し、日々慶應義塾のご縁に感謝させていただいております。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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