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【塾員クロスロード】
三木隆士:来し方行く末

2023/10/23

  • 三木 隆士(みき たかし)

    東京アート(株)代表取締役・1990商

なぜこのような機会をいただけたのか不思議なのですが、ここ数年大学時代の同好会の先輩後輩達とゴルフコンペを始めている事、その夜に酒を飲みながら、動画で應援指導部の応援歌を皆で改めて耳にする機会があった事、たまたま甲子園で慶應が広陵に勝った瞬間をテレビで見て、そのまま「塾歌」を聞いて何ともいえず懐かしくも誇らしい気持ちになった事、その後「塾歌」や「若き血」を何度も聴けた事(娘から「お父さんは高校は慶應じゃないでしょ」と言われた事は内緒です)、等々あって、この際この機会を利用して、慶應を卒業してからの自分自身を振り返ったりこの先の事について考えてみたいと思った次第です。

1990年卒業の私は、ある企業に就職し、96年に事情はありましたが何となく父の会社に入りました。いわゆる2代目というやつです。事業内容は、アパレル、化粧品、宝飾や食品等の専門店が店頭で使用するオリジナルショッパー(紙袋、ビニールバッグ、函etc)の企画・提案・生産~納品が中心で、非常にニッチな領域です。昨今の環境問題やSDGsといった流れのように、素材も含めた提案内容は時に応じて変化しますが、個々のお客様の「ブランディングを表現する重要なツールの1つ」という気概を持って取り組んでおります。皆様も一度は目にしたり手に取られた事のあるショッパーもあるのではないかと勝手に思っております。

会社に入ってまずもって驚いたのは、父の完全なワンマンぶりでした。2007年に何やかんやで代表職に就きましたが、ここからは共同代表の父の無謀な新規事業投資とそれに伴う財務内容の悪化、焦った父がはまり込んだ詐欺話、父との対立、父に物言えない古参の役員、幹部との軋轢など本業以外でも問題だらけの十数年が過ぎました。2020年にようやく父を解任することで社内的には1つの決着をつけましたが、コロナで本業が大ダメージを受ける等、正直ドタバタしながらよく生き延びているなと自分でも思っています。

そんな中で、今年は先述の別事業の譲渡という事業再構築も実現し、本業も、コロナの逆境から社員の努力で改善が見えてきており、改めて会社の将来を、合わせて自分と家族のこの先を腰を据えて考えていきたいと思う今日この頃です。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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