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【塾員クロスロード】
赤木円香:超高齢社会の変革(Age-Well)

2023/09/12

  • 赤木 円香(あかぎ まどか)

    株式会社MIHARU 代表取締役・2017総

私は、幼い頃からいつもチャーミングでなんでも可憐にこなす祖母に憧れてきました。長期休暇になると、祖父母の家に滞在し、たくさんのことを祖母から習いました。祖母はよく「70歳を過ぎたら年齢は1つずつ引いていくものよ」と得意げに話し、76歳の時には一緒にケニアへ旅行もしました。

歳を重ねるほどパワフルになる祖母でしたが、87歳の時の圧迫骨折をきっかけに一変。思うように体が動かなくなったことで家に籠りがちになり、自己肯定感が下がり、「ごめんなさいね。迷惑をかけて」と、家族や周囲に謝るようになりました。「人生の最期に感謝されるべき祖母が、家族や社会に謝るのはおかしい」どうしようもなく悔しさが込み上げ、これがきっかけとなり26歳の時に起業を決意しました。

創業時には、「シニア100人インタビュー」と銘打って、極寒の中街頭インタビューを実施。そこで知り得た「スマホの使い方など、ちょっとした困りごとや悩みを気軽に相談したい。解決してほしい」というニーズから、孫世代の相棒サービス「もっとメイト」を開始しました。現在、20〜30代の孫世代のスタッフがシニア世代の自宅を訪問し、スマートフォンやパソコンの個別レクチャー、散歩やお出かけ、趣味のお供など、多岐にわたる内容を実施しています。おかげさまで「できの良い孫のような存在」「老後に光が差し込んだ!」など、ありがたい感想をいただいております。今後も、シニア世代の彩りのあるポジティブな毎日をプロデュースする“ウェルビーイングサービス”として、サービスを拡大していきます。

SFC1年目に受講した「起業と経営」という授業では、慶應義塾大学出身の起業家の方々に、アントレプレナーシップについてお話しいただきました。その際、皆さんが共通して話していたことは「絶対に成し遂げたいミッションだから、どんなに辛くても今日までやってこられた」ということです。私は4年目のまだまだ未熟な起業家ですが、同じことを思っています。

弊社(私)のミッションは、「Age-Well 社会の創造」。たとえ加齢により心身脳の衰えがあったとしても、挑戦と発見の多いポジティブな毎日を送ることができるAge-Well な社会を創造することで、超高齢社会を変革します。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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