【塾員クロスロード】
大石真子:女子学生の可能性を引き出す
2022/06/22

2013年春。偶然が重なり、ハナラボが主催するワークショップに参加することに。横浜市にある文学館の活性化をテーマに、アイディア企画から実行まで取り組むという半年間のプロジェクト。正直、自分に何かを生み出すスキルがあるとは思えず、不安でいっぱいだった。
参加してみると、デザイン思考をベースにしたプログラムは、正解を求めてしまう私にとって新鮮で、何よりも楽しかった。アイディア発想のワークの後、その実現に向けて奔走した。周囲の力を多分に借りつつも、予想以上の結果に繋がり、その過程で「自分にこんな力があったとは」という気づきの連続だった。その後も、ハナラボを通して多くの素敵な女性の先輩方に出会い、自身の可能性を広げるきっかけをいただいた。
ハナラボに恩返しがしたい。卒業後、一般企業に就職したが、プロボノスタッフとしてハナラボに関わり続けることになんの迷いもなかった。様々なプログラムに携わり、学生のみなさんが変わっていく様子を見届けた。もっとハナラボの活動を広めていきたい。そんな想いが強まり、共同代表としての一歩を昨年踏み出したばかりだ。
女子学生と話をしていると、女性らしく振る舞うように、ジェンダーバイアスを気づかぬうちに内面化していると感じる瞬間がまだまだある。それによって自らの力を過小評価したり、選択肢を狭めてしまうことがあるように思う。その結果、挑戦する機会に恵まれず、自信がないと答える女性がたくさんいる。
ハナラボでは、自分を知り、自分を試し、社会を知り、社会に働きかける、といった経験ができる様々なプログラムを女子学生に提供している。プロジェクトは基本的に同性だけで取り組むうえ、リーダーを決めることはしない。それにより、世の中から求められる女性らしさに縛られず、のびのびと自分らしいリーダーシップのあり方を試すことができる。失敗したとしても、何かに取り組んだこと自体がすばらしい。社会人女性も交えて振り返りを丁寧に行うなど、小さな成功体験を積みながら、自己効力感を高められるようなプログラム設計を心掛けている。
ハナラボの活動を通して、1人でも多くの女性が自分自身の可能性に気づき、社会をつくる主体としての前向きな一歩を踏み出せるように。私自身も挑戦を続けたい。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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三田評論のコーナー |
大石 真子(おおいし まこ)
NPO法人ハナラボ共同代表理事・2017法