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【塾員クロスロード】
清川 照美:350億返済 奇跡の改革

2021/06/21

  • 清川 照美(きよかわ てるみ)

    株式会社タイヨー取締役副社長・2019経管研修

2013年9月、弊社はMBO(マネジメント・バイアウト)を行い、約20年間の上場企業(東証2部)から上場廃止を行いました。そこから大きく改革を行い、赤字スレスレだった会社が7年半で350億の借入を返済しました。

なぜ上場廃止を行ったのか? このままでは会社は潰れ買収されてしまう、そんな危機感からでした。上場していたので、1998年に4,000円台だった株価が2011年には500円台まで下落。買収するには非常にお買い得な会社になっており、本業のスーパーマーケットは赤字スレスレの状態でした。

どのようにして立て直したのか?そこには多くのドラマがありました。経営の勉強をした事の無かった私が、主婦の感性とトイレとバックルームの掃除をする事で流れを変えていきました。そこには5つの信念がありました。

1つ目はMBOをするにあたってのリーダーとしての覚悟です。社員の事、地域社会の事を考えた時、何とかしなければという強い思いです。

2つ目は社員の意識改革。とにかく上場していたので我が社は潰れるはずはないと、高を括っていたと思います。会社の数字をしっかりと社員に伝え経営数字も勉強してもらいました。

3つ目はスピードです。仕事をやっていくうえで大事な事は結果を出す事であり、猛スピードで立て直す事でした。よく「なぜ、そんなに仕事が早くすすむのですか?」と聞かれます。100点は求めない事です。社員には60点で良いので走って下さいと伝えます。最終的に完成形に近づけば良いのです。

4つ目は教育。会社は人なり。人宝と言われます。将来のブレーン候補として3カ月から1年、私の秘書をして育ててきました。その方のキャパシティの30%UPぐらいの仕事を任せる事で、人は育ちます。部下を育てるとは、部下へ愛情を持って指導し「自信」を育てる事です。

そして最後に感謝の気持ちです。1人で出来る仕事は限られています。社員、お取引先様のお陰で成り立っており、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを言葉で伝える事です。不思議と素晴らしい仲間と周りの方々に恵まれ助けられ運はめぐって来ます。変える事で結果として数字はついて来ます。改革とは、変化を恐れずに覚悟する事です。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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