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【塾員クロスロード】
武村 若葉:SFCで始まった私のconnecting the dots

2021/04/23

  • 武村 若葉(たけむら わかば)

    Change.org Japan カントリーディレクター・2008環

環境情報学部は厳密な専攻というものがないので、私もそれに与り履修した授業の範囲は幅広くあった。三田の文学部で美学美術史の授業も取りつつ、SFCでフランス語や社会学、テクノロジーに関する授業も履修していた。

今振り返ると、当時はひとかどの何かにならねば、そのために何か専門性をつけなければと無意識に焦っていたが、自分の興味の赴くままの履修結果が支離滅裂なので自分は何者にもなれないのではないかと絶望している節もあった。

大学卒業後、ルノー財団奨学金でフランスに1年留学しMBAを取得後、PR会社に就職した。そこでグローバルなソーシャルメディアの日本国内展開をサポートする中で、インターネットや新しいメディアの形が社会や人のあり方や認識まで変えているダイナミズムを目撃した。

この変革の波をさらに間近に見たいという気持ちから、代理店離職後にフリーランスPRとなった時のクライアントも自然とテクノロジー、インターネット関連のところが中心となった。その中に現在、日本のカントリー・ディレクターを務めるChange.orgがあった。

本格的にチームメンバーとなった時もまだ2~3人の本当に小さなチームで、知らないことでも必要なことはとにかくなんでもやるスタンスでいかないと成果は上がらない。Done is better than perfect.という標語はシリコンバレーの起業ムーブメントの中でよく言われるが、まさにそういう雰囲気での仕事は、自分の特性には合っていた。

広報活動の支援で始まったはずがいつの間にかユーザーへのメルマガ運用、マネタイズの戦略設定と実務、さらにはChange.org を使った社会変革活動のサポートにまで業務範囲は広がり、しがないPRマーケターだった私はいつのまにかアクティビスト支援が専門となった。

今は9名となったチームの採用、チームマネジメントと戦略設定がメイン業務となっている。しかしチーム運営で目指すところはインターネットやテクノロジーを使って日本の民主主義にアクティビズムや、1人1人の市民の社会参加の深化をどう促せるかという課題意識がある。

SFCでの一見まとまりのなかった経験はジェネラリストとしての幅広さと社会への洞察を持つ上で大変役立ったと今は感じている。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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