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【塾員クロスロード】
布施 努:スポーツ心理学の現場より

2020/04/13

  • 布施 努(ふせ つとむ)

    ㈱Tsutomu FUSE, PhD Sport PsychologyServices 代表取締役・1987文

スポーツ心理学で明らかになったアカデミックな理論を応用、実践してチームや個人の最高のパフォーマンスを引き出していくことが現在の仕事です。検証された理論を競技スポーツの現場でそれぞれの組織、チーム向けのトレーニングに置き換え、いかに結果を出していけるかに真価が問われます。

大学時代は体育会野球部に所属し、その後総合商社勤務を経て渡米しました。野球部、商社時代に人をベースにした組織作りが実体験として蓄積され、理論的にも学びたいと思い、北米スポーツ心理学会会長の下で博士(PhD)を取得しました。

私が修士、博士で学んだアメリカはスポーツ心理学の盛んな国で多くのプロ、アマ、オリンピック選手がスポーツ心理学を活用しています。

スポーツ心理学は、選手、監督、チームがどう考え、行動し、感じるかを分析、研究する学問です。運動生理学などが身体的側面を研究するのに対し、スポーツ心理学は心理的要因を解明していきます。

スポーツの場面では、様々な感情、考えが頭に浮かんできますが、それらを認識しコントロールする能力は「心理的スキル」として、フィジカルのスキルと同様に練習により身に付け、鍛えることができると考えられています。選手の意識、感情、緊張などをコントロールしたり、モチベーションをアップしたり、選手と定期的にトレーニングをし、それらの能力を高めていきます。また組織構築、コーチングなどのチーム作りもスポーツのパフォーマンスアップに重要な位置を占めるため、こちらも時間をかけトレーニングしています。

現在は、国内外のプロ、アマチュアの選手、オリンピック(候補)選手、チームをサポートしています。塾内では、昨年サポートする野球部が日本一になりました。他にも空手部、器械体操部、準硬式野球部などもサポートしています。

また、ビジネス界でのトレーニングもしています。スポーツ心理学をベースに組織構築、リーダー育成、パフォーマンスアップなどをアドバイスしたりトレーニングしたりします。

厳しい試合を制し選手と勝利を喜ぶ瞬間はこの仕事の醍醐味ですが、選手やチームが成長し、それを喜んでもらえた時がこの仕事をしている中で最も嬉しい時間です。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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