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【塾員クロスロード】
原田佳南子:いま、ローカルが面白い!

2019/12/24

  • 原田 佳南子(はらだ かなこ)

    瀬戸内ワークス株式会社代表取締役・2007環

ディズニーランドにディズニーのホテル、山に行けば山小屋があるように、うどん県にうどんの宿があってもいいのでは。「UDON HOUSE」はそんなアイディアから誕生しました。

大学卒業後、楽天トラベルに就職。旅館・ホテルのコンサルティングや地方自治体のプロモーション支援に携わりながら全国を飛び回り、多くの人に出会いました。自分がやっていることは本当に地域活性に繋がっているのか? そんな疑問を抱いていた時、地域で事業に取り組む人の姿に心を打たれました。自らリスクを負いながらも挑戦する姿が誰より眩しくカッコよく感じ、自分が進むべき道はこれだ、と確信しました。9年間勤めた楽天を退職し、2018年6月に香川県三豊市に移住、同10月に体験型の宿泊施設「UDON HOUSE」を立ち上げました。

「UDON HOUSE」は、チェックインをすると鍵の代わりに麺棒を渡され、6時間のうどんクラスが始まります。生地を寝かせている間に、讃岐うどんの歴史や文化、お出汁のことを学び、近くの農園で旬の野菜を収穫し、自分で作ったうどんと一緒に頂きます。宿泊者は必ずこのうどんクラスを受講し、讃岐うどんの文化や地域の日常に触れて頂きます。

成し遂げたかったのは、従来型の観光ではなく、土地に根付く文化に触れ、できるだけ地元の方と同じ目線に立つことです。「UDON HOUSE」がそんな存在になれたら、と思っています。

オープンからちょうど1年が過ぎましたが、The Japan Times やCNN Travel, Lonely Planet, NHK World などで記事にして頂き、これまでに約20カ国のお客様をお迎えしました。「こんな体験を探していた!」と喜んでくださる方が次々と訪れてくださいます。

次に取り組みたいと考えているのは、街全体が1つの宿泊施設となるような受け入れの仕組みづくりです。実際に地域に飛び込んでチャレンジをしたことで、たくさんの方が力を貸し、応援してくれました。この地域には、新たなチャレンジをする同年代の仲間がたくさんいて、この1年で信じられないほど色々なプロジェクトが生まれました。まだ始まったばかりですが、仲間と切磋琢磨し合いながら、自分たちで街の未来を創っている肌触り感にとてもやりがいを感じています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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