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渡邉真士:「ユポって何?」

2019/12/18

  • 渡邉 真士(わたなべ まさし)

    株式会社ユポ・コーポレーション代表取締役社長・1982法

社名であり当社製品名でもある「ユポ」についてご説明します。

「ユポ」は、紙とプラスチックフィルムの特性を併せ持つ合成紙(合成樹脂を主原料として作られる紙状のもの。丈夫で耐水性があり、屋外用ポスターや地図などに向く)で、その主な原材料は、今や逆風に晒されている石油由来の合成樹脂であるポリプロピレンと無機充填剤となっています。

「ユポ」の主な用途として、雨や水に強い機能が求められる、屋外ポスターやシャンプー等のプラスチック容器のラベル、冷凍・冷蔵食品のラベル、携行地図、ゴルフのスコアカード等となっています。また、折ってもすぐ開くという特長により、開票作業の省力化に適しているとして、選挙の投票用紙等皆様の身近なところにも使われています。

当社のそもそもの成り立ちは、当時の資源問題・環境問題に端を発しています。

1960年代は紙文化を支える森林資源の不足とその価格高騰が懸念され、1968年には、科学技術庁資源調査会が「紙に代わる新素材」として、石油樹脂を原料とする「合成紙産業育成に関する勧告」を発表しました。そこで、紙パルプ、繊維、石油化学等、多くの企業が合成紙事業に取り組むことになりました。しかし、その後は、二度の石油危機を契機に当社を含む2社を除き、他社はすべて撤退してしまいました。当然のことながら、当社としても、「紙の代替」から「機能素材」へ方向転換をせざるを得ず、以来、天然紙やフィルムでは果たしえない機能を武器に、ニッチな市場をターゲットにして、商品開発・用途開拓を行ってまいりました。

当社が、本年5月に創立50周年を迎えることができたのも、合成紙ならではの特性を活かすべく、当社を取り巻く様々な方々(印刷会社やインキメーカー、印刷機器メーカー、ブランドオーナー他)の絶大なる協力(いわば共創)のおかげだと考えています。

また、今年の3月には、CO2排出量削減を推進するバイオマス由来樹脂を配合した合成紙「ユポグリーン」の販売を開始するなど、今後も引き続き創立当初から続く、環境に配慮したモノづくりに、こだわっていきたいと思います。

最後に、この紙面をお借りし、栗林ゼミOBの1人として、今年1月に逝去された栗林忠男先生のご冥福をお祈りしたいと思います。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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