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【塾員クロスロード】
寺田親弘:世界を変える出会いを

2018/07/30

  • 寺田 親弘(てらだ ちかひろ)

    Sansan 株式会社 代表取締役社長・平11環

突然ですがみなさんは、名刺を日頃どの程度使っていますか? 現在、全世界では年間100億枚、日本国内では十億枚の名刺が流通していると言われています。言い換えれば、その数だけ「ビジネスの出会い」が生まれているということです。ただ、名刺交換をした後にそのまま机の引き出しの中にしまっていたら……見返すこともほぼなく、せっかくの出会いも無駄になってしまいます。もしかしたら、その中に 「世界を変える出会い」も埋もれているかもしれません。

2007年に創業したSansan は、名刺から「世界を変えるような出会いを後押ししたい」という想いのもと、写真を撮るだけで名刺を簡単にデータ化し、会社内で管理・共有することができる法人向けクラウド名刺管理「Sansan」を提供してきました。松重豊さんの「早く言ってよ〜」というフレーズでCMも打たせていただいていますが、おかげさまでメガバンクや大手企業など7000社にご利用いただいています。

そして2012年より、個人向けに名刺アプリ「Eight」の提供を開始。名刺のデータ化だけでなく、名刺交換相手とビジネスに限定したSNSを利用できる無料のサービスです。ビジネスの出会いを活用するサービスとして200万人のユーザー様に利用されています。

そして現在、ビジネスの出会いにイノベーションを起こすために、AIの力を活用した新しい挑戦を行っています。独自のR&D部門「DataStrategy & Operation Center(DSOC)」を立ち上げ、データサイエンティスト20名が、数億枚の名刺の蓄積を分析・研究をしています。例えば、次にあなたが出会うべき人をAIが提案してくれる「スマートレコメンデーション」といった機能が生まれ、法人向けではすでに提供されています。

人生は出会いの連続です。かの有名なThe Beatles も、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの偶然の出会いから生まれたと言います。彼らの出会いのような「世界を変える出会い」は世の中にまだまだ埋もれています。もしかしたら、本稿を読まれている皆さんの、昨日の名刺交換相手と、世界を驚かせるイノベーションを起こせるかもしれません。

このような世界を変える出会いを後押しすべく、引き続き挑戦を続けていきます。

※所属・職名等は当時のものです。

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