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【塾員クロスロード】
勝田隆仁:金看板なし、縁と熱意で事業推進

2018/04/01

  • 勝田 隆仁(かつた たかひと)

    RAM社 海外担当役員・平6法

新卒から在籍した三菱商事を40歳で退職し、アジアでのコンシューマー事業、メディア事業展開をライフワークと標榜し、タイの現地パートナーと事業体を設立しました。

とはいえ、最初は核となる事業や中期事業計画などもなく、ゼロからのスタートで、数年は事業の模索、実施、見直しの繰り返しでした。

「三菱商事」という金看板もなく、個人的な信頼関係が一番の財産であると痛感したこの5、6年で、2つほど形になった事業があります。

1つ目は、「由布院ミルヒ」というスイーツ事業です。タイのパートナーより「湯布院はオシャレな温泉地としてアジアの富裕層では知名度がある。湯布院にあるミルヒというスイーツは美味しくて、SNSでも話題だ」とコメントをもらいました。

別の仕事でご縁があった方がそのメーカーの社長をご存知で、初面談を湯布院でセッティングして頂きましたが、「東京にもまだ進出していないし、いきなりタイ展開とは早急」とけんもほろろでした。それにめげず、タイで調達できる食材サンプルを持参し再びお伺いしたところ、「ここまで準備して商談する相手はいなかった。これもご縁なので検討しましょう」と言ってくれました。現在はバンコク国際空港店をはじめタイで4店舗を順調に展開しています。

2つ目は、「BNK48」というタレントコンテンツ事業です。音楽やドラマなどのコンテンツについて、日本のプレゼンスはタイでは皆無です。そのようななか、以前から面識のあったAKB48運営会社の方に、タイでの事業パートナーを探していると伺いました。その場で手を挙げましたが、すぐに認定された訳ではなく、我々の熱意やタイでのネットワークなどをプレゼンし、他の候補企業との比較が行われました。タイの大手エンタメ企業なども手を挙げるなか、このような事業の実績がない我々が選ばれたのは、「熱意」を買ってくださったからだと思います。

この事業もスタートから本当に数多くの試練がありましたが、第1期生お披露目から1年足らずで、シングル曲がYouTube 閲覧数8,000万回以上、サッカーのタイ代表チームの応援団にも就任、10社ほどの大手スポンサー様と年間契約成立、と現時点で大成功に至っています。

ご縁や熱意の大切さを日々痛感しながら、引き続きアジアでの事業展開を推進していきたいと思います。


※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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