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【塾員クロスロード】
川辺友之:武将スーツで地域を盛り上げる

2017/12/01

  • 川辺 友之(かわべ ともゆき)

    株式会社NFL代表取締役社長・平6経

「今しか、親孝行でけへんぞ」という兄の言葉がグサッと胸に突き刺さり、27歳の時に大阪の家業を継ぐ決断をしました。家業は紳士服の製造卸業。経営は火の車でした。

大学時代に「パソコン通信」に触れ、インターネットの時代が来ると確信し、1996年よりホームページを開設、IT企業の立ち上げを模索していました。このスキルを活用し、紳士服の卸売から小売業への業態変換で家業の立て直しを図りました。99年11月に楽天市場へ出店。店名は「ノービアノービオ」(スペイン語で「新郎新婦」という意味)。タキシードなどフォーマル洋服を扱うアパレルショップです。

しかし、2年間は売上がほとんどなく、父からは「趣味か?」とバカにされ、苦しみ悩みました。見かねた嫁が手伝ってくれたことから好転し、徐々に売上が上昇、2005年には月商1000万円を達成しました。

続いて大阪梅田と東京表参道に直営小売店を出しましたが、当初はこちらもなかなか売上が上がらず悩みました。そんな私に、ネット活用の勉強会仲間から「ブログを書いてみたら」と救いの声が。半信半疑で始めてみたら、ビックリ、売上4倍に!まさに、仲間のお蔭です。この経験から、同じような中小企業さんを助けたいと思うようになりました。

2013年にクラウドファンディング(CF)の存在を知り、勉強会仲間と共同でCFのプラットホームを運営しようと「FAAVO大阪」を立ち上げました。CFとはウェブ上に自分の夢ややりたいことを掲載し、共感した方から少額の資金を募る手法です。CFで大阪を盛り上げたいと当時天王寺区の水谷区長へ突撃訪問、快く迎えてくれた区長から、大坂の陣400年の町おこしに「真田幸村をモチーフにした紳士スーツを作れないか」と提案がありました。

真田幸村といえば六文銭の家紋。この六文銭をスーツのブランドにして、袖ボタンも6個。真田の赤備えから裏地は赤を使いました。ビジネスマンは現代の侍。真田幸村スーツを着て戦いましょうというコンセプトでCFを実行すると、日本各地より「こんなスーツを待ってました」と50名の方から計約250万円が集まりました。このCFをもっと中小企業に活用してもらいたいと、現在各地で講師をしています。これからもCFを広げる活動で地域を盛り上げていきたいと思っています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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